オーダースーツを仕立てる際のボタン選びは、スーツの印象を決める重要な要素のひとつです。ボタンの種類や留め方はさまざまで、ボタンの選び方によって、スーツの魅力は大きく変わります。本記事では、スーツを仕立てる際のボタン選びの重要性と、ボタンの種類や選び方について解説します。

スーツの印象を左右するボタンの種類とは

まずは、オーダースーツに使用されるボタンの種類のなかから、代表的なものについて紹介します。

水牛ボタン（ホーンボタン）

水牛の角から作られるボタンです。天然素材の水牛ボタンは、最高級ボタンとして高級既製服やオーダースーツなどに使用されています。水牛の種類ごとに色や価値は異なり、明るい色のものほど高価です。色も柄も同じものがない、一点ものという特別感があります。

ナットボタン（椰子ボタン）

エクアドルで栽培されるタグア椰子の実から作られるボタンです。タグア椰子は、質感が象牙に似ていることから、別名「植物の象牙」「アイボリーナット」とも呼ばれます。本来の色は乳白色ですが、染色の度合いや方法を変えることで、ラグジュアリー感やナチュラル感など、さまざまな風合いを表現します。水牛ボタンに次ぐ高級ボタンで、木の実ならではの自然な模様や、経年変化による色の変化などを楽しめるのも魅力です。

貝ボタン

その名のとおり、貝殻から作られるボタンです。主に、高瀬貝、白蝶貝、黒蝶貝、茶蝶貝、アコヤ貝などの貝殻が原料です。貝殻をくりぬいて作られるため、ボタンひとつひとつが全て異なる輝きを放つことが魅力です。光の加減や見る角度で、さまざまな光沢の変化を楽しめます。

練りボタン（プラスチックボタン）

合成樹脂製のボタンで、ポリエステル樹脂やユリア樹脂などから作られます。天然素材のボタンよりも丈夫で加工がしやすく、コストを抑えられるメリットがあります。

オーダースーツの魅力を引き出すボタンの数と留め方

オーダースーツは、ジャケットの種類やボタンの数によって、着こなしの印象が変わります。また、ボタンの留め方にはそれぞれルールがあります。スーツを魅力的に着こなすには、スーツの種類ごとの印象の違いや、ボタンの留め方を理解することが大切です。

そこで、以下ではオーダースーツの種類やボタンの数、そして留め方について詳しく解説します。

シングルスーツ（シングルブレスト）

前ボタンが縦1列に並んでいるタイプのスーツです。ボタンの数は1～3個と少なく、派手になりすぎないデザインはスマートな印象を与えます。近年の日本のスーツの主流で、就活からビジネス、フォーマルまでさまざまなシーンで着用できます。

ボタンの留め方・シングル

シングルの場合、ボタンの数で留め方が異なります。ボタンが1つのみ場合は、ボタンをしっかり留めます。ボタンが2つある場合は、上のボタンだけ留めます。ボタンが3つの場合は、上2つのボタンのみを留めます。

ただし、段返り3つボタン（一番上のボタンが下襟の裏に隠れているタイプ）の場合は、真ん中のボタンのみを留めます。シングルスーツは、フロントボタンが2〜3個の場合、一番下のボタンは留めないのがマナーです。「アンボタンマナー」と呼ばれる基本ルールのため、しっかり押さえておきましょう。

ダブルスーツ（ダブルブレスト）

前ボタンが縦2列に並んでいるタイプのスーツです。ボタンの数は4つもしくは6つが主流で、軍服由来のボタン数が多いデザインは重厚感を感じさせます。年配の方や社会的地位が高い方が着用するイメージの、ゆったりとしたクラシカルなシルエットのものから、若者に人気のタイトでスタイリッシュなタイプまでさまざまです。

ボタンの留め方・ダブル

ダブルスーツのボタンの留め方のポイントは「実際にボタンをかけられる数」です。ボタンを留める箇所が1つ掛けの場合、上のボタンは飾りボタンのため、下のボタンのみを留めます。留める箇所が2つ掛けの場合は、一番下のボタンを外すのが最近の主流です。

ただし、正統派な印象にしたい場合は、ボタンを2つとも掛けることをおすすめします。あえて1番下のボタン1つだけを留める上級テクニックもあります。ダブルの場合は、シングルほど明確なルールはないため、実際にボタンを留めてみたときの印象や着用シーン別に合わせて、ボタンの掛け方を変えるとよいでしょう。

印象が変わるオーダースーツのボタンの選び方

ボタン選びによってもオーダースーツの印象は変わります。ここでは、ボタンの選び方について解説します。

スーツを仕立てる目的やバランスに合わせてボタンを選ぶ

ボタン選びの際は、オーダースーツの着用目的に合わせて選びましょう。着用シーンごとに、スーツのシルエット・素材・色など異なるため、ボタンもそれに合ったものを選ぶとよいでしょう。例えば、重要なビジネスシーンでの着用なら、正統派の水牛ボタンがおすすめです。

カジュアルスーツにはナットボタンや練りボタン、特別なシーンで着るスーツには光沢ある貝ボタンを選ぶと個性が引き立ちます。スーツとのバランスや色数も考慮し、おしゃれかつ適切なボタンをセレクトしてください。

まとめ

オーダースーツのボタン選びは、スーツの印象を左右する重要なポイントです。ボタンの種類や留め方、色やサイズによって、スーツの印象は大きく変わります。たくさんあるボタンのなかから、自分が作りたいオーダースーツにぴったりのボタンをチョイスしましょう。仕立てあがったスーツを着こなす自分をイメージして、楽しみながらボタン選びをしてみてください。

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