オーダースーツには種類がある!それぞれの特徴と違いは?
オーダースーツの魅力は、自分の体にフィットしたスーツを作れるという点です。すべてのパーツに合ったスーツは着心地がよいだけでなく、スタイリッシュでスタイルもよく見えます。ただし、オーダースーツといっても、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーの3つに分けられます。今回はその違いと特徴について解説いたします。
パターンオーダー
パターンオーダーは入門ともいえる、オーダースーツ初心者には一番おすすめの手法です。サンプルのスーツの中から自分の体に近いサイズを試着しながら、上着は着丈や袖丈、パンツはウエストやパンツ丈などの限られた部分の微調整をすることで好みのフィット感のスーツが注文できるオーダーです。価格が抑えられていて、仕上がりまでの日数も早いので気軽にオーダーしてみたいという方におすすめです。
型紙の選択肢が少ないので、でき上がりのデザインの自由度が少ないというところが弱点ですが、でき上がりのイメージもつきやすく、既製品しか買ったことがない人でも挑戦しやすいところがメリットです。型紙の自由度が低いということは、高い技術と経験を持った熟練の採寸士も必要がなく、オーダーの命ともいえる採寸を比較的簡単に行う事ができるため、アルバイトや経験の少ない店員などの販売員を多く抱えるスーツチェーン店であっても導入しやすいオーダーであるといえます。
しかし、一般的にパターンオーダーは低価格を重視するがゆえに簡易的な仕立ても多く、一部には外から見える部分だけを高級仕様にして、見えない部分は安価に仕上げているようなケースもあるようです。
イージーオーダー
イージーオーダーは、初心者向けのパターンオーダーと、上級者向けのフルオーダーの中間にある方法です。決められたパターンをベースに生地やデザインを選び、デザインとサイズの補正を加えることで、自分好みの1着を作るオーダーです。はじめにサイズサンプルを試着するので、初心者でもでき上がりがイメージしやすく、体型にフィットしたスーツを手軽に作る事ができます。
また、パターンオーダーよりも多くのスタイルに対応可能で、カスタマイズも可能ですが、基本は工場の持つジルエットのパターンなので、細かい補正には限度があります。注意すべき点としては、採寸の技量に仕上げが非常に左右されやすいという点です。
熟練の技術でしっかりと型紙の補正をしないと、イメージとまったく異なるスーツになってしまう事もありますので、きちんとした経験のあるテーラーに注文するほうが無難だといえます。また価格面は、縫製の違いや生地の原産地によって幅広い価格帯が存在します。コストパフォーマンスには優れる反面、高い採寸技術を要するので、優良店舗を見つけるのが難しいです。
フルオーダー
ハンドメイドオーダー、ビスポークオーダーとも呼ばれる作り方のことで、もともとは一人の職人がそれぞれの身体に合わせて、こだわりの一着を仕上げる方法を指します。フルオーダーのメリットは手書きで型紙を一から書き起こすため、どのようなデザインでも好きなように作ることが可能という事です。肉付きや腕の長さ、肩幅などあらゆるパーツのサイズは十人十色ですので、購入者の体型の微妙なクセまで細かく採寸して着用シーンできれいに美しく、そして着心地よい服創りをしているのがフルオーダーです。
最大の特徴は、パターンオーダーとイージーオーダーにはない仮縫いという工程で、この仮縫いがあることで、一人ひとりの体形に合うサイズやデザインの微調整が行えます。サイズだけではなく、裏地やボタンの色柄を変えたり、内ポケットの大きさを手持ちの財布や手帳のサイズに合わせたりと、細かいデザインにこだわって理想の形に仕上げます。
袖を通した時のフィット感が既成スーツとはまったく異なる反面、サンプルの試着ができないため、初心者にとっては仕上がりのイメージがつきにくいというデメリットもあります。採寸や裁断の技術やセンスに依存する部分が非常に大きく、その経験値や熟練度によってでき栄えも大きく左右されます。
生地によって価格が異なりますが、その価格は仕立てに比例して高価になっていくのが通常です。顧客が作りたい形をヒアリングし、それを正確に形にするには、テーラー側の経験が必要です。スキルと実績の高いテーラーは多くなく、また若手の人材育成も進みにくい環境にあります。そのためオーダースーツを取り扱う店は多くありますが、フルオーダースーツが作れるお店は少ないのが現状です。
身体にピッタリとフィットするオーダースーツは、価格設定も高めで、大人に一歩踏み出したような気分になり、身も心も引き締まるものです。オーダースーツといっても、パターンオーダー、イージーオーダー、フルオーダーと、その製造工程によって大きく3種類にわかれ、それぞれに特徴や価格も異なり、またメリットとデメリットもあります。今回ご紹介したようにそれらの違いを理解して、自分に適した手法を選ぶようにしましょう。