イタリアとイギリスのスーツはどこが違う?それぞれの特徴と違い
「イタリアンスーツ」と「ブリティッシュスーツ」をご存知でしょうか?聞いたことはあっても、具体的にどう違うのかわからない方も多いかもしれません。スーツの型は、それぞれ国の特徴や個性を反映させているので、スタイルが異なるのです。今回は、スーツの型として代表的なイタリアとイギリスのスーツの違いを紹介していきます。
イタリアンスーツの特徴
まずは、イタリアのスーツについてお伝えしましょう。スーツ発症国である英国の貴族たちがバカンスでイタリアに訪れた際に、当地の職人に服をオーダーしたことから、スーツがイタリア独自の進化を遂げたとされています。
イタリアンスーツは軽い着こなしができる
寒いイギリスと違い、領土の多くが地中海性気候であるイタリアは、比較的暖かく雨も少ない地域です。そのためか、ブリティッシュスーツで見られる重厚感はなく、生地だけでなく仕立ても軽めになされているのです。軽やかで柔らかい生地を使うことで生まれるドレープなど、自然と出るシルエットを楽しむことができます。
自然と出るシルエットを重視している
イタリアのスーツでは、肩に厚いパッドは入っておらず、極力薄くして誇張しないように、自然体をイメージさせるショルダーラインが多いです。肩が張らない分、袖へと自然につながるため、動きやすくなっています。そしてイタリアンスーツは、ファッション要素が強く、ジャケットもパンツも比較的短めの丈感を多いです。ビジネスシーンではジャストサイズが基本なので、カジュアルに着たい方は試してみてはいかがでしょうか。
ブリティッシュスーツの特徴
英国紳士が好んで着用するスタイルのスーツを「ブリティッシュスーツ」と言います。スーツ発祥の地であるイギリスのスーツは、固めの生地に厚めのパッドが入っており、重厚感が強いこと、その分比較的丈夫なモノに仕上がるのが特徴です。
生地が厚いため、多湿の気候でもヨレない
イギリスの気候は一年中曇りが多く湿度が高いので、衣類の生地が薄いと、すぐにヨレヨレになってしまいます。そのため、ブリティシュスーツの素材が重くて固いのは、そんな多湿な状況でもヨレないようにするためだと言われています。ファッション性よりも紳士的な重厚感を重視していて、打ち込みもしっかりしていることが多いです。
イタリアンスーツとブリティッシュスーツの違い
ここからは、イタリアとイギリスのスーツの違いを紹介していきます。生地の厚さやシルエットなどの具体的な違いを知って、ぜひスーツを買うときに参考にしてみてください。
生地の違い
イタリアのスーツの多くは、素材が軽く柔らかいので、ドレープ感が楽しめるようになっています。光沢が美しく、絹織物のようなウール生地を使用していて、色目が鮮やかなモノが多いのもイタリアンスーツの特徴です。
その点、イギリスのスーツは、素材に打ち込みが入っており、重量感のあるモノが多いです。生地の密度が高く厚めで、マッドな質感が貫禄を出してくれます。最終的には好みになりますが、仕事着のカジュアル化が進んでいるため、イタリアのスーツが好まれる傾向があるようです。
肩のデザインの違い
イタリアンスーツの場合、肩のラインがナチュラルで、体のラインに沿ってストンと落ちた形をしています。肩のつなぎ目が目立たず、自然なシルエットにしてくれるのです。
一方、ブリティッシュスーツは、厚いパッドが肩に入っているため、つなぎ目である肩先が山のようにせり上がったデザインです。その分、カッチリと紳士的な風合いを出してくれます。イタリアは軽くスッキリとしており、イギリスは型がしっかり取れた構築的です。肩のデザインが少し違うだけで、見た目に大きな変化がつく重要なポイントになります。
ポケットのデザインの違い
スーツのジャケットには、胸と腰の2箇所にポケットがついていて、イタリアとイギリスではそれぞれの国の特徴がでています。
イタリアのスーツは、「バルカポケット」といって、船のような湾曲したデザインのポケットがあります。曲がったポケットは取り付けが難しく、職人が腕を競って付けているほどとも言われているのです。実用的というよりも、デザイン性が重視され魅せるポケットとしてつけられており、ファッション要素が強いイタリアならではの特徴です。
イギリスのスーツに多いのは「箱型のポケット」で、スーツ発祥の地であるイギリスの伝統的なポケットになります。その他、貴族が乗馬の際に、手を入れやすくするために斜めに作られたモノが「スラントポケット」です。このように、イタリアではファッション性、イギリスでは伝統がポケットに反映されていることがわかります。
イタリアとイギリスのスーツでは、生地からシルエット、ポケットのデザインまでと、様々な違いをおわかり頂けたでしょうか。カジュアルなスタイルにしたい方には「イタリアンスーツ」、カッチリと貫禄のあるスタイルを出したい方には「ブリティッシュスーツ」がおすすめです。今回ご紹介した違いに注目して、ぜひお好みのスーツを選んでみてください。